読書メモ

民主主義では足りない(ボー・ロススタイン「政治的正統性を創出する:民主的選挙vs政府の質」メモ)

今回紹介するのはBo Rothstein "Creating Political Legitimacy: Electoral Democracy Versus Quality of Government"という論文。前回の記事では「政府の質」の定義について紹介したので、今回は、なぜその「政府の質」というのが重要なのか、を分かりやす…

「政府の質」を定義する(ボー・ロススタイン&ジャン・テオレル「政府の質とは何か」メモ)

今回紹介するのはBo rothstein & Jan Teorell “What Is Quality of Government? A Theory of Impartial Government Institutions”という論文。著者の1人、ボー・ロススタインは、「政府の質(quality of government)」研究の第一人者であり世界的に影響力…

ジョセフ・ヒース『資本主義にとって倫理とは何か(Ethics for Capitalists)』勝手に紹介文

この度、ジョセフ・ヒースの著書"Ethics for Capitalists"の邦訳が『資本主義にとって倫理とは何か』というタイトルで出ることになったらしい。 ジョセフ・ヒース『資本主義にとって倫理とは何か』 資本主義にとって倫理とは何か 作者:ジョセフ・ヒース 慶應…

リベラリズム、デモクラシー、国家機構(フランシス・フクヤマ『政治の起源』『政治の衰退』メモ)

今回紹介するのは、フランシス・フクヤマの著書、『政治の起源』と『政治の衰退』である。フランシス・フクヤマというと、「歴史の終わり」でその名前を知っている人がほとんどだと思うが、「冷戦終了間際にリベラル・デモクラシーは完全勝利したとかのたま…

道徳心理学における「義務」の復権(ジョセフ・ヒース他「人はなぜ酔うと不道徳な行動をとるのか」メモ)

今回紹介するのはJoseph Heath & Benoit Hardy-Vallée "Why do people behave immorally when drunk?"という2015年の論文。タイトルは「人はなぜ酔うと不道徳な行動をとるのか」というものだが、内容としては、道徳心理学(モラル・サイコロジー)の分野にお…

現実をみつめる政治哲学(リサ・ヘルツォーク&ベルナルド・ザッカ「政治理論におけるフィールドワーク」)

今回紹介するのは、Lisa Herzog & Bernardo Zacka "Fieldwork in Political Theory: Five Arguments for an Ethnographic Sensibility"という論文。著者のリサ・ヘルツォークとベルナルド・ザッカは、政治哲学者・政治理論家*1でありながら、自身でフィール…

企業は「2階」の社会的責任を負う(ウィリアム・ボーモル「企業の責任と経済活動」メモ)

今回紹介するのは、ウィリアム・ボーモル(William Baumol)の論文、"Business Responsibility and Economic Behavior"である。この論文の初出はManaging the Socially Responsible Corporationという本だそうだが、筆者が読んだのはAltruism, Morality, and…

経済学とビジネス倫理の対立と協力(ジョセフ・ヒース論文「経済学によるビジネス倫理への貢献」メモ)

今回紹介するのはジョセフ・ヒースの論文、「The Contribution of Economics to Business Ethics」である。 一応ビジネス倫理の論文だが、狭義のビジネス倫理学者はほとんど出てこない。どちらかというと、経済学がいかにしてビジネス倫理を受け入れるように…

「ハリー・ポッターと合理主義の方法」個人的備忘録(その3)

この記事の続き。決定的なネタバレが目白押しなので、読んでない人は今すぐブラウザを閉じるべし。 kozakashiku.hatenablog.com kozakashiku.hatenablog.com

「ハリー・ポッターと合理主義の方法」個人的備忘録(その2)

この記事の続き。 kozakashiku.hatenablog.com

「ハリー・ポッターと合理主義の方法」個人的備忘録(その1)

「ハリー・ポッターと合理主義の方法(Harry Potter and the Methods of Rationality)」というのは、エリーザー・ユドコウスキー *1による世界的に有名なハリポタ二次創作小説である。ありがたいことに有志の方による翻訳があり、非常に読みやすい訳文で楽…

進化心理学と文化進化論(中尾央『人間進化の科学哲学』読書メモ)

今回紹介するのはこちら。 中尾央『人間進化の科学哲学 行動・心・文化』名古屋大学出版会 人間進化の科学哲学―行動・心・文化― 作者:中尾 央 名古屋大学出版会 Amazon

市場原理ってなんですか?(ウェンディ・ブラウン『いかにして民主主義は失われていくのか』読書メモ)

今回紹介するのはこちら。 ウェンディ・ブラウン『いかにして民主主義は失われていくのか 新自由主義の見えざる攻撃』 いかにして民主主義は失われていくのか――新自由主義の見えざる攻撃 作者:ウェンディ・ブラウン みすず書房 Amazon

左派の望む社会は経済成長に支えられている(ベンジャミン・フリードマン『経済成長とモラル』読書メモ)

ブログ更新も滞っているので、ちょっとした読書メモを。手元に本がなく、個人的にとった読書メモを頼りに書いているので、間違いや引用の誤字などあったらごめんなさい。 さて今回は、ベンジャミン・フリードマン『経済成長とモラル』東洋経済新報社を紹介す…