社会

意志の弱さは「自己責任」か?(ジョセフ・ヒース&ジョエル・アンダーソン「先延ばしと拡張された意志」メモ)

本記事では、ジョセフ・ヒースとジョエル・アンダーソンによる共著論文「先延ばしと拡張された意志」(Joseph Heath & Joel Anderson, 2010, "Procrastination and the Extended Will")を紹介する。 この論文は『時間泥棒:先延ばしについての哲学的論文集』…

『どうしてわれわれはなんでもかんでも 「新自由主義」 のせいにしてしまうのか?』@阿佐ヶ谷ロフト

荒木優太、矢野利裕、稲葉振一郎"どうしてわれわれはなんでもかんでも「新自由主義」のせいにしてしまうのか?" www.loft-prj.co.jp というイベントに行ってみた。以下、イベント内での発言(を筆者がざっくりまとめたもの)にコメントをつけていくという形で…

「新自由主義批判」の何が問題とされてきたのか

弊ブログではこれまで、「新自由主義(ネオリベラリズム)批判」を批判する記事をいくつか挙げてきた。そんなことをしていると、「新自由主義批判」は雑だと批判するお前の議論の方が雑じゃねーか、という批判ももらったりする。確かに「新自由主義批判」批判…

市場原理ってなんですか?(ウェンディ・ブラウン『いかにして民主主義は失われていくのか』読書メモ)

今回紹介するのはこちら。 ウェンディ・ブラウン『いかにして民主主義は失われていくのか 新自由主義の見えざる攻撃』 いかにして民主主義は失われていくのか――新自由主義の見えざる攻撃 作者:ウェンディ・ブラウン みすず書房 Amazon

「新自由主義」批判がグダグダになりがちな理由(ジョセフ・ヒース論文「批判理論が陰謀論になるとき」メモ)

今回紹介するのは、ジョセフ・ヒースの論文「When does Critical Theory Become Conspiracy Theory?」である。この論文でヒースは、「新自由主義」概念をルーズに用いた議論などを念頭に置きながら、批判理論が陰謀論に堕してしまう条件、さらにまっとうな批…

民営化と一口に言っても…(ジョセフ・ヒース講演「無害な民営化Anodyne Privatizations」概要)

ジョセフ・ヒースが Grimen-lecture 2022: Joseph Heath, University of Tronto: Anodyne Privatizations www.oslomet.no という講演をやるらしい。会場はオスロ・メトロポリタン大学というノルウェーに新しくできた大学で、zoomとかもないっぽいので聞くこ…

人種特権と多数派特権(ジョセフ・ヒース講演「多数派特権は不正なのか?Is Majority Privilege Unjust?」メモ)

www.trentu.ca 先日、カナダの哲学者、ジョセフ・ヒースによるzoomでの講演「多数派特権は不正なのか? Is Majority Privilege Unjust?」*1を聞いた。あいにく筆者は英語をほとんど聞き取れないし、スライドもそれほど充実したものではなかったので、言って…

お知らせ

econ101.jp 主に英米の社会科学者の論説を翻訳・紹介しているサイト経済学101で、ジョセフ・ヒース(カナダの哲学者)のWoke tactics are as important as woke beliefsという記事を翻訳させていただきました。*1 *1:WARE_bluefieldさんに大幅に手直ししていた…

メリトクラシー論の(再)整理

ネットを開けばメリトクラシーは諸悪の根源であるかのように叩かれているが、そうした批判においてメリトクラシー(あるいはその弊害)と名指されているものが果たして同じものなのかと言われれば、はなはだ怪しいように思われる。誰もがメリトクラシー批判を…

10分でわかる日本のメリトクラシー(≒学歴社会)研究史

誰もが教育や学歴について語りたがるが、教育や学歴の研究が参照されることは少ない。そして参照軸を失った教育語り、学歴語りは、まるっきり同じ論点について堂々巡りを繰り返す。あらゆる領域に当てはまることだが、教育においては特に、とっくの昔に解決…